子育てのヒント

NICUってどんな場所?~助産師たちのつぶやき~

2021年6月8日

助産師たちのつぶやき今年は特別に早い梅雨入りだそうで、もうすでにじめじめした天気が続いていますね。雨が続くと気が滅入ってしまいがちですが、みなさまどのようにお過ごしでしょうか?私はNICUに異動になり早2年ほどが経ちます。周産期センターやNICUでたくさんの赤ちゃんやご家族と関わる中で、NICUってそもそもよく知らない、という声をよく耳にします。今回はそんなNICUのお話です。

NICUとは新生児に特化した集中治療室のことです。NICUには、37週より早く生まれた赤ちゃん、体重が小さく生まれた赤ちゃん、生まれるときに呼吸が上手にできなかった赤ちゃん、生まれてから肌が黄色くなる黄疸が強めに出てしまった赤ちゃん、などなど、治療が必要な赤ちゃんたちが入院しています。数日で退院できる赤ちゃんもいれば、数か月の治療が必要になる赤ちゃんなど、様々な赤ちゃんたちがいます。

当院のNICUは周産期センターに隣接しています。緑色のぶ厚い扉2枚で区切られていて、外から見ると、少し近寄りがたい雰囲気があります。NICUの中の雰囲気もまた独特なもので、お母さん、お父さんたちにとって緊張する環境かもしれません。ワンフロアで区切りがなく、薄暗くて、たくさんの医療器械が置いてあって、いろんなところからアラームの音が鳴っていて…私も異動したての時は、そんな環境に慣れず毎日心が落ち着かなかった覚えがあります。

ここまで紹介させていただく中で、NICUって少し怖い場所かな、と思ってしまったかもしれません。でもNICUはもう一方で赤ちゃんの成長を見守り、子育てをする場でもあります。お母さん、お父さんたちと一緒に赤ちゃんのお世話のお手伝いをしています。お母さんたちが来られない間、私たちも、3時間おきに授乳をしたり、おむつ交換をしたり、お風呂に入れたり、体を拭いたり、時には抱っこしてあやしたり、話しかけたりしています。赤ちゃんの退院が近くなってくれば、お母さんやお父さんたちに沐浴や授乳の方法を説明して練習してもらったりしています。赤ちゃんとそのご家族の生活スタイルそれぞれに合った育児の方法をみんなで考えて、提案させていただいています。NICUは特殊な場所でもありますが、子育てをする場所でもあるんだな、と気軽に思っていただけると幸いです。

赤ちゃん

また、NICUに入院する赤ちゃんは、生まれたばかりの子がほとんどです。NICUに入院するとお母さんと赤ちゃんが離れ離れになってしまいます。そのような中、お母さんとお父さんが赤ちゃんを家族として迎え、良い家族のスタートが切れるようにサポートさせていただいています。わが子がNICUに入院すると、お母さん、お父さんは出産を終えた実感が湧かず喪失感をもつことも少なくありません。また、どのお母さんも、赤ちゃんが入院してしまったことについて、自分のことを責めたり、後悔したり、つらい思いをしています。そんなつらい、複雑な思いを抱えているのに、わが子に会いに来て体に触れたり、話しかけたりしてくれるお母さんたち。会いに来てくださるだけでも、とてつもなくすごいことです。緊張するNICUに来てくれることにとても感謝しています。赤ちゃんも間違いなく嬉しいだろうな、と私は勝手に思っています。赤ちゃんもお母さんたちの想いにしっかり応えてくれる時もあります。私はお母さんと赤ちゃんが2人向かい合っている姿をみるのがとても好きです。わが子を見つめるお母さんの優しい顔、赤ちゃんの時々見せるにやっとした顔、それをみて嬉しそうにするお母さん、とても幸せだな、素敵だな、と思っています。

当院のNICUでは医師、看護師、助産師が24時間体制で勤務をしています。子育経験者のお母さんスタッフもたくさんいます。何か困ったことやわからないことがあったらもちろん、もやもやした気持ちやつらい気持ち、嬉しかったこと、何気ない世間話、いつでも大歓迎です。いつでも気軽にお声を掛けてくださいね。スタッフ一同、お母さんと赤ちゃんの一番の理解者でありたいと思っています。もちろんNICUに入院にならず、一緒に退院できるのがお母さんたちにとって一番喜ばしいことです。私たち助産師は、お母さんと赤ちゃんが元気にお産を終えられるように全力でサポートさせていただいていますが、少なからず治療が必要になる赤ちゃんがいるのが現状です。わが子に治療が必要になり、NICUに入院することになったとき、そういえばNICUってこんな場所だったな、となんとなく思い出していただけたら嬉しいです。

皆様が元気に出産を終え、楽しい育児のスタートが切れますよう、祈っています。

文/浜松医療センター 助産師 北村怜奈

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