子育てのヒント

ねずみのアナトール(文研出版)

2005年7月9日

タイタス さく / たがやたえこ やく / はまだみちこ え


ねずみのアナトール 前回、私が書いた「まほうのあめだま」は、佼成出版から出版されている。
 なぜこんな書き出しかというと、今日ご紹介する「ねずみのアナトール」が、私としては、文研出版のものでなくてはならないから。他の出版社のものは、絵が原作のままらしいのだが、この「ねずみのアナトール」の『はまだみちこ』さんの絵が、まさに、トレビアン!(すばらしい!)
 子どもだった私は、出てくるチーズの絵を見て、思わずチーズ好きになってしまい、フランスの町並みの絵を見て、一度は行ってみたいものだとあこがれた。
 外国の本というのは、翻訳次第でつまらなくなってしまうことがあるが、この本は、翻訳も申し分ない。アナトールの気持ちの変化が、子どもにもわかりやすく、ていねいに書かれている。
 大人になって、もう一度読み返しても、その感動は薄れることがなかった。珠玉の一冊である。

 ネズミの「アナトール」は、お父さんねずみだ。
 いつものように、人間の台所で、家族のために残り物をあさっていると、人間に見つかってしまい、フランスの恥、とまで言われたアナトール。悲しくなったアナトールは、ねずみと自分の名誉のために、食べ物をもらう代わりに何かお返しができないかと考えた。
 ねずみの好物ってなんでしょう? ねずみの好物は、そう、チーズ。(お話の中のネズミ捕りのエサでおなじみの…ね)で、この本でも、やっぱりチーズ。なんと、アナトールは、チーズ工場の味見係りになったのだ。

 この本の主人公はアナトールだが、作者は、家族のことを片時も忘れていない。つらい思いで家に帰ってきたアナトールを慰めるのは奥さんネズミだし、アナトールのことを尊敬する子ネズミたちが、いつも家で待っている。本を読み終わったとき、家族っていいなあ、ってほんわか思ってしまう。

 お父さんが中心になっている児童書、なかでも絵本というのは、がっかりするほど少ないのが現状だ。父の日は終わってしまったけれど、お父さんってカッコイイ、って思ってもらえるこの絵本、おすすめです。


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